地盤種別とは?

 地盤種別とは、簡単にいうと軟らかい地盤硬い地盤かを示す区分です。地震に対する建築物等の設計の際に用いられています。建築分野では、「昭和55年建設省告示第 1793号告示1793号)」により、第一種地盤第二種地盤第三種地盤の3種類に分けられています。地盤とはいっても、地耐力や地盤沈下を検討するSWS試験による、「地盤改良を行うかどうか」とは異なり、地震に関する地盤の特性となります。

地盤種別は同告示によると第一種、第二種、第三種地盤に区別されております。

 ・第一種地盤は硬い地盤

 ・第二種地盤は中間の地盤

 ・第三種地盤は軟弱な地盤

告示1793号では、地盤種別について地盤の特徴とともに、地盤の周期(秒)が以下のように記載されています。
建築物の基礎の底部(剛強な支持ぐいを使用する場合にあつては、当該支持ぐいの先端)の直下の地盤の種別に応じて、次の表に掲げる数値(単位 秒)

引用:昭和55年建設省告示第 1793号

第三種地盤では

 第三種地盤では、どのような対応が必要となるのでしょうか。建築基準法では、著しく軟弱な地盤である第三種地盤では、壁量が通常(建築基準法施行令46条4項、表二)の1.5倍が必要とされています。

 実際には、これまで地盤種別、とくに第三種地盤であるかを簡易に計測する方法が普及していなかったことがあるため、現実的に計測に基づいて第三種地盤と定めて、1.5倍の壁量で設計していたケースは乏しいとみられます。

 Be-Doが推進する微動探査では、地盤の卓越周期が計測でき、計測に基づいて第三種地盤に相当する地盤を特定することが可能となります。第三種地盤では、事実上、1.5倍の壁量ということで耐震等級3に相当する壁量が必要となる*ことから、計測して第三種地盤に相当する際は、耐震等級3にする根拠資料として示すことができます。
*厳密には建築基準法の1.5倍の壁量だけでは、耐震等級3としては不足します。

 全棟耐震等級3を採用している場合でも、微動探査を行えば実測データを根拠情報とできることや、耐震等級3に加えて、揺れ自体を抑える制振オイルダンパーを設置するなど、より一層地震に備えた構造とすることもできるでしょう。また、共振の可能性もあって地盤が著しく軟弱な場合(表層地盤増幅率2.5や3.0を超えるような場合)においては、より壁量を増やすなどの対策もできます。

既存住宅では耐力を1.5倍に

 昭和55年建設省告示第 1793号 では、「地盤が著しく軟弱な区域を定める基準」も記載されています。その基準は、上の表に掲げる第三種地盤に該当する区域であるものとする。とされています。

 その後に、 昭和62年11月10日 建設省告示第1897号では、「地盤が軟弱な区域」として、以下のように定められています。3番目に、告示1793号第三種地盤が含まれています。


地盤が軟弱な区域は、次の各号の一に該当する区域であるものとする。
一, 地耐力度が小さく不同沈下のおそれがある区域
二, 地震時に液状化するおそれがある砂質土地盤区域
三, 地盤が昭和55年建設省告示第1793号第2の表中Tcに関する表に掲げる第三種地盤に該当する区域

※引用:建設省告示1897号

 既存住宅耐震診断においての軟弱地盤の取り扱いはどのようになっているでしょうか。国土交通省による「新耐震基準の木造住宅の耐震性能検証方法」では、既存住宅の必要耐力を算定する際、以下のように地盤が非常に悪いと思われる敷地の場合には、1.5倍とすることが記載されています。

当該住宅の仕上材の仕様、建設地域(地域係数 Z、積雪量)に応じて、表Ⅱ.3.2.1.1 に
示す値に、各階の必要耐力算出用床面積を乗じて求まる数値とする。
ただし、
①地盤が非常に悪いと思われる敷地の場合には、必要耐力を 1.5 倍する。
(以下省略)

引用: 新耐震基準の木造住宅の耐震性能検証方法

 同 検証方法 では、本文中に「基準法の第三種地盤に該当する地盤が著しく軟弱と思われる地域にある建物については必要耐力の割増を行う」と記載されており、既存住宅においても第三種地盤の区分を利用することができます。

地盤種別、地盤の地震特性が気になったら・・

 「微動探査」では、地盤の増幅特性周期特性S波速度構造(硬さの層構造)がわかります。地盤種別の判断に必要な、周期特性の実測も標準でお示ししています。さらに、建築予定の建築物の想定される固有周期共振する可能性なども考慮でき、さらに地盤自体の揺れやすさ表層地盤増幅率)を計測できることから、地震に対する地盤の特性が気になる方は、お気軽にBe-Doまでご相談ください。